科目紹介
 
 
文学好きの人はいうまでもなく、文学離れした若者たちもターゲットにした講義です。教員、図書館司書、ボランティアなど、読書指導の現場にいる人たちが、指導の技法を学ぶためにも、ぜひ活用していただきたいと思います。

 まずは作品を愉しみながら読むことが目標です。いくつか工夫をしてみました。

 第一に、放送授業では、この作家を語るなら、この人を措いて他にないという講師をお招きしました。カフカは池内紀先生、マーク・トウェインは柴田元幸先生、ドストエフスキーは沼野充義先生、イタロ・カルヴィーノは和田忠彦先生、という具合。

 第二に、声によって文学の世界に誘うために、朗読をたっぷりお聴かせします。

 第三に、新しいメディアで補助教材を提供します。印刷教材に添付されたCD-Rには、合計5時間40分の朗読のほか、要点を理解するための文字情報、イメージ画像などが入っています。今ご覧になっているホームページでは、柴田元幸先生の『書写人バートルビー』新訳などCD-Rには収録できなかったテクストや、その他、楽しくて役に立つ情報やガイダンスを提供します。

 講義には、毎回明確なポイントがあります。『ドン・キホーテ』は「講談」のように読める。『嵐が丘』は女性作家の描いたロマン主義と愛の世界。『罪と罰』は暗く深刻な人生論というより大都市を舞台にした現代的なサスペンス。『ハックルベリー・フィンの冒険』は少年のおしゃべりという文体が極め手。『変身』における変身ぶりの不思議と当人が不思議に思わぬことの不思議。カルヴィーノの短篇のポストモダン性……。他にもヴァージニア・ウルフ、プルースト、メルヴィル、チェーホフなどが登場します。

 ところで「世界の名作」の条件とは何か?――だれでもが自分の身近なテーマを発見することができて、しかも背後には、人生や社会や歴史をめぐる深い洞察が隠されているような書物、と定義しておきましょう。

 文学は言葉の芸術です。いわゆる「読書感想文」とはちがうやり方で文学について語る方法を、それぞれの講師が実践的に示します。その実例をしっかり理解したら、今度は自分で作品を読みながらメモをとり、どんなふうに書かれているか、考えてみてください。文学とは言葉の問題、つまり書き方の問題なのですから。

 通信指導問題と単位認定試験は記述式です。あなた自身が文学について何を書けるのか。じつは書いてみるほどに、読み方の面白さがわかってくるのです。

さあ、チャレンジしてみましょう!

教授 工藤庸子
 
 
―4つのメディアで学ぶ世界の名作―
1. 放送教材:45分×15回。「放送予定」を参照してください。
インターネット配信で聴くこともできます。
 http://campus.ouj.ac.jp/ouj/modules/senko_tiny16/content/daigaku/1115901.htm
2. 印刷教材:15の章は、解説のページと作品の抜粋から構成されています。紙面は限られており、放送教材の再現ではありません。履修者は必ず放送授業を聴いてください。
3. 印刷教材添付のCD-R:放送授業では紹介できなかった部分もふくめ、作品の朗読が合計5時間40分収録されています。
4. 学習サポートのHP:
・「朗読サンプル」のページには、広報のためにCD-Rに収録された朗読の一部を掲載しました。
・「お知らせ」のページには、履修者が学習の展望を広げるための情報を定期的に掲載します。
・あわせて工藤庸子の個人的な活動に関するウェブサイトをご覧ください。
 http://www.campus.ouj.ac.jp/~kudo/
 
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