3.本講義「量子化学」の学習目標(パターン1-18

量子化学に関する15回の講義は,本章の序論に始まって次のように展開して行く。

次章では,量子化学の基礎となる波動方程式と波動関数の考え方と使い方について最も簡単な例をあげて概説する。

次に第3章から6章までは,波動方程式を水素原子・水素分子をはじめ実在するいくつかの簡単な原子・分子に応用して,解き方と使い方の要点を示し,「化学結合とは何か,個々の分子はなぜ特定の構造と反応性を持つのか」などの基本的な問に対する考え方を概説する。

数学的内容については必要最小限にとどめて,初学者にとって最も重要と思われる基本的な考え方については,大筋が理解できるように配慮したつもりである。

第7章から13章までは,スペクトルの実験を中心として展開される。

すなわち,分子の世界で起こる様々な現象が分光法によりどのように測定され,実験で測定された結果が量子化学を用いてどのように解釈され応用されているかを紹介する。

そこまでは1個の分子の量子化学を主題としているが,第14章では分子の間に働く力について説明し,分子の量子化学から分子集合体(液体・固体・表面)の量子化学への発展について概説する。

また最終回では,量子化学の最前線で行われている研究例を取り上げて,未来への展望を述べる。