問題解決の数理

放送大学教養学部 主任講師:大西 仁

使用する主な数学

各章・各回で使用する主な数学,前提となる数学的知識を示す. シラバスに「大学初年次程度の数学の知識を前提とする」とあるが, 大雑把には線形代数,微分積分,統計学の初歩的知識を指す.ただし,線形代数や微分積分に関しては「大学の数学」の厳密さは必要ない*.高校までの割といい加減な数学の拡張として理解している程度でよい.そういう意味では,高校までの(理系の)数学を理解していれば,前提知識としては十分である.ただし,高校までの数学は指導要領が何度も変更されているので,習っていない単元もあると思われる.

*「大学の数学」とは,厳密な論理で組み立てられた数学で,「数学科の数学」のような言われ方もする.この科目のためには,「工学のための数学」のような教科書,参考書を読むほうがよいかもしれない.ただし,厳密な大学の数学を学ぶことに意義がないということは決してない.「本物の数学」を知ること自体に意義があるし,研究レベルでは厳密な数学が必要になることもある.大学の初年次に多少なりとも学んでいると,いざ必要になった際のハードルが低くなる.「大学の数学の厳密さは必要ない」というのは,この科目を理解するための優先順位としては低いということである.

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第1章・第1回 線形最適化法(1):一次式による問題の定式化
  • 連立一次方程式(中学か高校で習う)
  • 連立一次不等式(中学か高校で習う…かもしれない)
    ただし,連立一次不等式を習っていなくても,一次不等式(中学で習う)と連立一次方程式が理解できれば,十分かと思われる.
第2章・第2回 線形最適化法(2):線形最適化問題の解法
第1章・第1回で使う数学に加え,
  • 一次不等式が下図のような幾何的解釈できることを理解している必要がある(中学か高校で習う)
  • 連立一次方程式の解法である掃き出し法(線形代数で習う)を知っていると,理解しやすい.
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第3章・第3回 ネットワーク最適化法
  • 第1章・第1回で使う数学と同じ
第4章・第4回 スケジューリング: プロジェクトの管理
  • 大半は四則演算のみ
  • 一部,第1章・第1回の内容の応用
第5章・第5回 在庫管理
  • 微分を応用して極値を求める(高校で習う)
  • 正規分布(高校で習う)
  • 一部,第1章・第1回の内容の応用(ただし,初読時には飛ばしてよい内容)
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第6章・第6回 階層分析法: 主観と勘を有効活用する意思決定
  • 指数・対数の指数(高校で習う)
  • 行列とベクトルの積(線形代数で習う.高校で習った人もいる.印刷教材の付録に簡単な説明)
  • 行列の固有値,固有ベクトル(線形代数で習う.印刷教材の付録に簡単な説明.深追いはしない)
第7章・第7回 ゲーム理論: 協調と競合の数理(1)
  • 主に数の大小の比較
  • 一部,期待値(高校で習う)と連立一次方程式(中学で習う)
第8章・第8回 ゲーム理論: 協調と競合の数理(2)
第7章・第7回で使う数学に加えて,
  • 第1章・第1回の内容の応用
  • 等比数列の級数(高校で習う)
第9章・第9回 統計的決定: 不確実状況下での決定
  • 期待値(高校で習う)
  • 条件付確率とベイズの定理(この科目で説明)
  • 一部,正規分布(高校で習う),微分と積分の関係(高校で習う),微分を応用して極値を求める(高校で習う)(ただし,深追いしない)
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第10章・第10回 問題の状態空間モデルと探索
  • 数の大小比較と加減算
第11章・第11回 待ち行列理論:待ちの数理
  • ポアソン分布と指数分布(この科目で説明)
  • 線形分離型の微分方程式(高校で習う)
  • 等比数列と級数(高校で習う,公式だけで十分)
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第12章・第12回 非線形最適化法
  • 微分を応用して極値を求める(高校で習う)
  • 偏微分(微分積分で習う,ただし高校で習う微分を理解していれば,この科目の説明で理解できる)
  • 高階微分,高階偏微分(微分積分で習う.ただし高校で習う微分を理解していれば,この科目の説明で理解できる)
  • 行列とベクトルの加減算と積,逆行列(線形代数で習う.高校で習った場合はその範囲内で十分.印刷教材の付録に簡単な説明)
  • 演習問題で円の方程式(高校で習う)
第13章・第13回 統計モデル
  • 第12章・第12回の応用
  • 指数関数,対数関数(高校で習う)
  • 正規分布(高校で習う),二項分布(高校で習う.この科目で出てくる式だけで十分)
  • 条件付分布・条件付密度(この科目内の説明で十分)
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第14章・第14回 組み合わせ最適化法
  • 第1章・第1回で使う数学と同じ
第15章・第15回 メタヒューリスティクス
  • 第14章・第14回で使う数学と同じ
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