A.タンパク質の立体構造を表示する。 

  1. エクスプローラーで、CD-ROM(E:)へ移動する。
  2. Bioinfo フォルダをダブルクリック
  3. Rasmolフォルダをダブルクリック
  4. raswin.exeのアイコンをダブルクリック。(警告の画面が出るかもしれませんが。その場合は実行をクリックすること。)(testショートカット
  5. RasMol Version 2.7.3のプログラムが立ち上がり、ブランクの画面が表示される(下図)。
  6. 下図のように、メニューのFileをクリックし、プルダウンメニューのOpen..をクリックするとファイルを選択する画面が現れる
    1. その中の1CD8.pdbのアイコンをダブルクリックする。
    2. そうするとブランクの画面に1CD8というタンパク質の立体構造が表示される。マウスポインタを画面の中に入れると矢印がクロスに変化するので、ドラッグしながら(左のボタンを押しながら)マウスを動かします。そうすると中のタンパク質の画像が回転します。(ショートカット)(警告の画面が現れた場合は実行をクリック)
    3. はじめに出てきたのは、wireframeと呼ばれる表示方法であり、原子間の共有結合を線で結んだものです。メニューのDisplayをクリックすると、いろいろな表示方法をプルダウンメニューから、選択できます。Backboneは側鎖がないもの、spacefillは、実際の原子をその大きさで表現したもの(各原子のvan der Waals径の球体)、つまり、実際のタンパク質の状態に近い。Cartoonsはタンパク質の特徴的な構造を絵で示したもの、アルファへリックス(螺旋のリボン)、ベータシートは(矢印のついたリボン)、その他(太目の線)で示してある。 まずは、spacefillを選択する。
    4. メニューのColoursをクリックすると、いろいろな色の表示方法を示した、プルダウンメニューが表示される。CPKが初期値であり、炭素(灰)、酸素(赤)、窒素(青)、硫黄(黄)、水素(白)などで表現される。Sharpleyはアミノ酸を色で区別したもの。Chainは複数のペプチド鎖がある場合はそれぞれ異なる色で表示し、また、タンパク質以外のものも異なる色で表示する。Temperatureは立体構造の解析結果の確からしさを表す。青いほど正確であり、赤いほどその位置が明確ではない。Structureはタンパク質の2次構造ごとに色分けアルファへリックス(赤)、ベータシート(黄)、ターン(青)、その他(白)であらわされる。
    5. よって、Display Cartoonsと Colour Structureを選択すると、タンパク質の構造が模式的に示され理解しやすい。
    6. CD8は免疫に関与するタンパク質であり特徴的な逆平行ベータシート構造を持つ
    7. パソコン画面の1番下の部分に以下のような部分がでてきます。上の場合は左側のRasmol Command lineをクリックします。下の場合はraswinをクリックするとメニューが出てくるので、Rasmol Command lineをクリックします。
    8. そうすると以下の画面が表示されます。この画面でテキストベースの指示を与えることによって、立体構造画像の画面表示を細かく変更することができます。まずは、ジスルフィド結合を表示させてみましょう。立体構造の画面で、Display->CartoonsとColours->Structureを選択する。次に、RasMol Command Line画面を選択し select cysとキーボードでタイプし、エンターキーを押す。そうすると、アミノ酸のシステインだけが選択されます。そこで、立体構造の画面に戻ってDisplay->SpacefillとColours->CPKを選択します。
    9. 2つのシステインの硫黄同士がかさなりあっているのがわかる。さらにもう一つのシステインの硫黄も近くに存在することがわかります。
    10. メニューのFileをクリックし、プルダウンメニューのCloseをクリックすると表示が消える。
    11. 今度は、1BZ0.pdbの構造を同様にして見てみる。メニューのFileをクリックし、Openをクリックするとファイルを選択する画面が現れるので、1BZ0.pdbを選択する。
    12. はじめに、Colours->Chainを選択。8種類の色に分割される。大きな4つの構造とその中に挟まった4つの円盤状の分子である。これがヘモグロビンの立体構造である。大きな4つの構造はアルファグロビンとベータグロビンと呼ばれる同じ構造をしたタンパク質が各2つずつに相当する。円盤状の分子はヘムと呼ばれる酸素を運搬するのに欠かせない分子である。Display->Spacefillに変更すると、ヘムがペプチド鎖にはさまれているのが良くわかる。さらに、Display->CartoonsとColours->Structureを選択すると、ヘモグロビンはアルファへリックス構造に基づくタンパク質であることがわかる。
    13. ヘムの詳細を見る。FeとN。方法は、立体構造の画面で、Display->CartoonsとColours->Structureを選択する。次に、RasMol Command Line画面を選択し、select ligandとタイプし、エンターキーを押す。そうすると、ヘムだけの色や表示を変更できるようになる。立体構造の画面においてDisplay->Spacefill 、Colours->CPKを選択すると、ヘムを構成する原子を見ることができる。オレンジの原子が鉄(Fe)その周りに窒素(N)があるのがわかる。
    14. この鉄の部分が酸素と結合するが、この部分はタンパク質の表面にあるのか、内部にあるのか見てみよう。RasMol Command Line画面を選択し、select proteinとタイプし、エンターキーを押す。立体構造画面でDisplay->Spacefill, 、Colours->Chainsと選択する。各タンパク質は単色で示されます。ヘムはそのままの色で示されます
    15. ヘムの鉄イオンはどのアミノ酸の近くにあるか。RasMol Command Line画面を選択し、select proteinとタイプし、エンターキーを押す。立体構造画面でDisplay->Backbone, Colours->CPKとする。次に、RasMol Command Line画面を選択し、select 87a or 58a とタイプし、エンターキーを押す。こうするとあるタンパク質の58番目と87番目のアミノ酸が選択される。この場合は、アルファグロビンのアミノ酸が選択されている。次に、colour blueとタイプし、エンターキーを押す。立体構造画面でDisplay-> Spacefillを選択する。そうすると、ヘムの鉄イオンを挟み込むような形で、アミノ酸の側鎖が突出しているのが分かる。側鎖をクリックするとRasMol Command Line画面にアミノ酸の種類が表示される。この場合は、どちらも、ヒスチジンである。
    16. (予備)鎌形赤血球症はどこに異常が起こっているか見てみよう。RasMol Command Line画面を選択し、select glu6bとタイプしエンターキーを押す。つぎに、colour yellow エンターキーとする。立体構造画面でDisplay-> Spacefillを選択する。鎌形赤血球症を発症する場合、その個体のベータグロビンの6番目のアミノ酸がglu(親水性)からval(疎水性)に変化している。
    17. (予備)そのvalに変化したアミノ酸が、異なるヘモグロビンのアミノ酸85番目Phe、88番目Leuと結合し、ヘモグロビンが繊維状になることが原因である。これらのアミノ酸の立体構造上で見てみる。
    18. (予備)command line画面で select 85b or 88b エンターキー、つぎに、colour red エンターキーとする。立体構造画面でDisplay-> Spacefillを選択する。
    19. (予備)これらのアミノ酸はタンパク質の内部にあるか露出しているか。
    20. メニューのFile->Closeをクリックすると表示が消える。
    21. 次に、1BL8の構造を同様にして見てみる。まずは、Display->Cartoons、Colours->Chainにする。これは電位依存性カリウムチャネルと呼ばれるタンパク質で、4つで1つの構造を形成し細胞膜の中に突き刺さっている。Colours->Structureを選択すると、細胞膜の部分がアルファへリックスになっていて、両端の細胞膜外に出ている部分が、不規則な構造をとっている。このように、膜を通過するタンパク質は、一般的にアルファへリックスが同一軸に並んでいる。RasMol Command Line画面を選択し、select heteroとタイプし、次にDisplay->Spacefil 、Colours->CPKにする。4つの鎖の真ん中に原子が4つ見える。3つの濃いピンクがカリウム原子、赤の小さめのものが、水の酸素原子です。このように4つのタンパク質でできた通路を通って、カリウム原子が細胞膜を通過します。
    22. 次にRasMol Command Line画面を選択し、select 77  エンターキー、つぎに、 colour CPK エンターキーとする。立体構造画面で Display->Spacefillとすると、その通路の大きさとカリウム原子の大きさの実際の様子がわかる。77のアミノ酸は何である。クリックして確かめてみる。さらにカリウム原子へと接触している原子を調べてみる。主鎖の部分は窒素(青)、酸素(赤)あるいは炭素(灰色)である。
    23. メニューのFile->Closeをクリックすると表示が消える。
    24. (予備)1M17の構造を同様に。これはEGF受容体と呼ばれるタンパク質のチロシンリン酸化酵素ドメインにその阻害物質であるErlotinibが入り込んだ複合体の立体構造である。DisplayをBall&Stick、ColoursをCDKにする。次に、RasMol Command Line画面を選択し、select ligandとタイプし、エンターキーを押す。そうすると、ヘムだけの色や表示を変更できるようになる。立体構造の画面においてDisplay->Spacefillを選択する。チロシンリン酸化酵素ドメインにErlotinibが入り込んでいることが良く見える。
    25. (予備)Erlotinibとよく似た構造を持つでgefinitibというものがある。これは、同様にEGF受容体の阻害物質である。受容体のわずかなアミノ酸配列の違いで効果が異なる可能性が示唆されている。それがどこか調べる。Display->Backbone、Colours->CPK、Command Line画面で  select 834 or 695,立体構造の画面においてDisplay-> Spacefillを選択する。これらの部分に突然変異が起こり、細胞の腫瘍化が起っている場合もある。