フランス南部、地中海に面し、スペイン国境から中央山地の一部を含む。ラングドックはオック語(occitan)で oui に相当する oc に由来。 年間をつうじて気候の変化が激しく、地形、植生などの面で際だった特徴をもつ(オリーヴをはじめとする乾燥に強い植物、岩肌の露出した斜面など)。 中心都市は、モンペリエ、ニーム、ペルピニャンなど。 農業地帯として知られ、とくにワインの生産量はフランス全体の40%ほどを占める。また夏季の観光業は極めて重要である。

オード県の県庁所在地。パリからTGVでおよそ6~7時間。

鉄器時代の紀元前8世紀に城塞都市が形成され、紀元前1世紀にローマ帝国の植民都市となる。西ゴート族、イスラーム勢力による占領を経て、トゥールーズ伯の支配下で隆盛期を迎えるが、カタリ派追討を名目としたアルビジョワ十字軍によって占領され、王権の傘下に入る(1247年)。以降はアラゴン王国に対する前線基地として戦略的に枢要な位置を占めた。

以下のふたつの世界遺産を擁することによってカルカソンヌは世界規模の観光都市として近年急速な発展を遂げ、空港はヨーロッパの複数の都市と直行便でつながれている。
オード川右岸の丘上にそびえる巨大な要塞(シテ)、左岸のサン・ルイ城塞都市のふたつの区域から構成される。前者の起源は6世紀にさかのぼる。13世紀に改修と拡張工事がおこなわれ、現在の規模となる。軍事上の価値を失うにつれて人口が後者に流出し、荒廃が進んだが、1844年以降、建築家ウージェーヌ・ヴィオレ=ル=デュックの指揮下におこなわれた大規模な修復工事によって面目を一新し、世界遺産に認定されている。
カルカソンヌ市内は、もうひとつの世界遺産ミディ運河に貫かれている。これは17世紀に技師ピエール・ポール・ド・リケが私財を投げ打って起工したもの(完成は死後の1681年)。大西洋に連なるガロンヌ河と地中海をつなぐ。全長241キロ。現在は遊覧目的の船舶による交通が中心となっている。

ラングドック=ルシヨン地方 HP
カルカソンヌ HP


森元 庸介 
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