セネガル、ギニア、コート・ジボワール、ブルキナ・ファソ、ニジェール、アルジェリア、モーリタニアと国境を接する内陸国。国土面積124万1千km2、フランスの2.2倍、日本の3.3倍。南西から北東に国を貫くニジェール河と、セネガル国境を流れるセネガル河。首都バマコ(人口100万人)、主要都市はセグー、モプチ、トンブクトゥ、カイユ等。 パリから毎日就航のAF直行便で4時間半から5時間。経由便はモロッコ、セネガル航空など。時差:パリとは1時間(夏は2時間)、東京とは9時間。ビザ(在パリ総領事館で28 euros)、黄熱病予防接種が必要。 気候:バマコ近辺はサヘル気候(サハラ砂漠と熱帯地方の間に位置する)、トンブクトゥなど北方は砂漠地帯、南部は熱帯性気候。7~10月が雨期、耕作期、夕方から朝にかけて激しい雷雨になる。乾季の11~3月は比較的過ごしやすく、観光シーズンでもあるが、東からHarmattanと呼ばれる突風が吹いて大地が乾燥し、運ばれてくる砂のため砂漠化が深刻。4~6月は雨期を前に気温と湿度が上がり、地方により40℃を越える。特に暑くなるカイユ地方は西アフリカの圧力釜(cocotte-minute)と呼ばれる。 主要産業:農業(生産量アフリカ第二位の綿花、落花生、粟、ソルゴ、米)。畜・工・鉱業(りん鉱石、岩塩、金、銀)。

人口1100万人(都市人口約3割)。識字率:男性27、女性12%。宗教:イスラーム8割、アニミスト2割、キリスト2%。 言語と民族:公用語フランス語。10の国語にバンバラBambara、セヌホSenoufo、ソニンケSoninké、ドゴンDogon、プールPeul、ソンガイSonghaï、タマシェクTamasheq、アラブArabeなどの民族語。媒介言語、支配言語であるバンバラ語や、プール語を話す人も多い。フランスの移住者は8割がカイユ地方のソニンケ人だが、他に首都を経由した各民族出身者などバンバラ話者もいる。フランス語は行政と経済界など一握りの支配階層、都市居住者の言語。首都でも学校へ行っていない人、特に30代以上の女性、地方の農村部(今回の撮影地も含む)など、全国的にはまったく話さない人が圧倒的に多い。フランス語を話すには文法を間違えないことが要請されるため、教育を受けていないと公衆の面前で話すのは「恥」、という認識をもつ女性も少なからずいる。 姓は民族、職業カースト(差別的ではない)を表す。民族により生業が異なる。バンバラやドゴンは農耕、ボゾやソモノは漁猟民でニジェールの中州に住み、プールは放牧を行う。各民族は交換関係にある。グリオールが導入したとされるドゴンのタマネギとボゾの魚など。交換関係や姓による、「冗談関係」。 市場は重要な交易の場で、撮影地セグーの月曜市は国内最大規模。それぞれの民族の、主に女性が産物を売る。例えば、乳製品を売るのは、プール族の女性。 主食は粟mil、米、ソルゴsorgho(キビ科)、フォニオfonio(イネ科)、パスタやパンなど。穀類は挽いて、朝食として甘い粥にするほか、クスクス状、またはナショナルご飯の「トー(to)」と呼ばれるパテ状に調理する。ベースとなる穀類は、地域や民族により異なる。薪(首都でも一般家庭は薪や炭で調理)と水の確保、脱穀が女性に課された重労働。タマネギとトマト、またはオクラと落花生ペーストなどをベースに、肉や魚を加えたソースを主食にかけて食する。豊富な淡水魚(天日干しや薫製にする、一人年間消費量10. 5kg)、食用肉(同6kg)に羊、牛、鶏やホロホロチョウpintade、一部キリスト教家庭で飼育される豚。牛や羊は炭火焼きにもする。バナナ、オレンジ、マンゴーなど果物も豊富。日に何度となく、お茶(アラブのミントティーを濃く甘くしたものを想像、中国から輸入)を飲みながら議論する。

7~14世紀にかけてマリ、ソンガイなどの帝国が栄える。17世紀バンバラ王国。18世紀奴隷制。1898年植民地化。 1960年6月20日フランスからマリ連合独立、8月セネガルの離脱を経て、9月22日マリ共和国。Modibo Keita大統領による社会主義。68年、Moussa Traoréによる軍政。80年以降、学生運動とその抑圧が続く。東欧の民主化の流れとともに90年、複数政党制を求めた民主主義運動が発展。91年3月に学生、女性、労働者らによる行進が軍と衝突し、148人以上の死者を出す。軍のクーデターで政権崩壊、Amadou Toumami Touré(ATTと略される)将軍が暫定国家元首となる。92年に新憲法制定、民政移管、Alpha Omar Konaré大統領。FMIとBMの構造調整計画が始まる。90年代前半に北方トゥアレグ人による内紛が起こるが、96年に解決。2002年民主的な選挙の結果、ATT(退役)が大統領に選出される。大統領共和制、一院制。国の標語:「Un peuple, un but, une foi」。 海と港、コミュニケーション手段、国際的競争力をもたらす熱帯食物(カカオなど)の欠如。全国的にも電力資源の整備が遅れ、繊維産業、食品加工などの軽工業が稼働しているものの、重工業の発展には支障をきたしているようだ。過去10年でインフラ整備が進み、バマコの都市化も進んだと言われる。上(下)水道、電気は大都市のみ。バマコからセネガル・ダカールまで鉄道。主要都市を結ぶ幹線道は舗装されている。携帯電話が急速に普及中。

世界遺産:トンブクトゥ(13世紀よりマリ帝国、ソンガイ帝国における岩塩や金の交易拠点)、ジェンネのモスク(世界最大の泥建築、トンブクトゥとともに学芸や宗教の中心都市として栄えた)、バンジャガラの崖とドゴン族の村(グリオールらの人類学研究による神話体系が有名。60年に一度のお祭りシギなど)。 手工芸産業が発達。11世紀からの染織に「ボゴラン」(バンバラ語で「土を使った」を意味する)、藍染め。黒檀などを使用した 木工(仮面、置物、日用品)、金銀細工など、緻密な手作業により行われ、質が高い。 楽師グリオによる伝統的な音楽や民族音楽。Sarif Keita、Ali Farka Touré、Rokia Traoréなどが現代音楽を発信。社会問題を描いた映画、国際的な音楽祭や写真展の開催など、文化面での躍動が注目される。 バオバブbaobab―大木は鎮守。葉(ソースの材料)、実は食用にもなる。皮を剥いで日用品などに使う。 ひょうたんcalebasse―大小のひょうたんを半分に割り、入れ物、台所用具、弦楽器コラ、太鼓などに加工する。

・Le Mali Aujourd’hui, Les éditions du Jaguar, 2003.
・Petit Futé Mali Country Guide.
・マルセル・グリオール『水の神—ドゴン族の神話的世界』、
 坂井信三・竹沢尚一郎訳、せりか書房、1997年。
・成澤玲子『グリオの音楽と文化—西アフリカの歴史をになう楽人たちの世界』、勁草書房、1997年。
・Aminata Traoré, 2002, Le viol de l’imaginaire, Fayard/Actes Sud.
マリ共和国文化省 HP
在日マリ共和国大使館 HP
マリウェブ
園部 裕子 
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