フランス北西部、英仏海峡と大西洋に囲まれた半島地域。 アイルランドやスコットランドと共通の起源をもつケルト文化の地として知られる。その重要な柱であるブルトン語を話す人口は減少し(20世紀初頭120万人→現在人口の2割にあたる24万人)、高齢化してもいる(64%が60歳以上)というが、道路標識のフランス語との二言語表記や教育活動を通じて保存に意欲。 カンペール、レンヌ、ヴァンヌに関しては、中世まで木の枠がはまった家が主流だったが、ブルターニュのフランス併合(1532年)頃以降は、有力者の館や行政庁を中心に石組みの建物が増えた。 シードル、そば粉のクレープ、魚介類などが有名。

パリからTGVで真西に4時間半(2012年には3時間に短縮予定)。カンペールはブルトン語で「合流点(Kemper)」を意味し、3本の川(l’Odet, le Steir et le Frout)の合流点にある。

ローマ人の入植で、地中海地方に開かれた港の周囲に小さな市街地が生まれたのが発祥の由来。現代に至るまで、交易が重要な活動。コルヌアイユ伯(Comte de Cornouaille)の居住地となったのち、司教座として発展する。13世紀に大聖堂と城壁の建造が始まり、町が形成された。ブルターニュがフランスに併合された16世紀以降は王の行政官の館が、また17世紀にはカトリック改革を受けて修道院が多く作られたが、本質的には、木骨造りや石造りの質素な家からなる商人や海運業者の町である。

石畳の旧市街に、ゴシック様式の大聖堂(cathédrale Saint-Corentin)や、カンペール美術館、県立ブルトン博物館等がある。ブルトン博物館はかつて司教庁だった建物を利用しており、城壁も一部残る。やや下流に、12世紀のロマネスク様式のロクマリア教会(Locmaria)がある。 素朴な絵柄の陶器、カンペール焼で知られている。1690年以来、日用品のほか、すべて手描きで、陶器画や装飾品を作っている。カンペールには工場見学のできる店や陶器美術館もある。 詩人マックス・ジャコブ(Max Jacob, 1876-1944)の出身地。

パリからTGVで2時間。

「合流点」を意味するガリアの町(Condate : la Vilaine et l’Ille)が、カエサルの侵攻を経てCivitas Riedonumという名を獲得し、地の利を生かして行政・経済の中心となっていく。交通の要衝のため5世紀から司教が滞在し、代々ブルターニュ公が行政の中心としていたが、ブルターニュ高等法院が置かれると(1562年)特権的な地方都市になった。18世紀初めの火事で900もの家が焼けた。18世紀の趣味で再建された中心地は、革命初期の事件の舞台となる。19世紀には下町が開発された。19世紀から大学が増え、第二次大戦後は高等教育・研究機関が集まり、技術都市の側面も備えている。

地域圏ブルターニュの行政と交通の中枢。

パリからTGVで3時間。大西洋に沿って、カンペールとナントの中間地点。ブルトン語で「小さな海」を意味するモルビアン湾(golfe du Morbihan)の奥まった場所に位置する。

強大なガリア系海洋民族ヴェネト人(Vénètes del’Armorique)が拠点にしていた港(Darioritum)をカエサルが攻略。その後外敵に備えて隣接する丘に築かれた要塞をもとに、中世になって町が形成された。12~13世紀に建てられた大聖堂(cathédrale Saint-Pierre)と市場(la Cohue)の周囲に市街地ができ、中世末期にブルターニュ公国の中心都市となると、狭い街路に沿って立つ木組みの家の脇に石造りの個人邸宅がそびえるようになった。ブルターニュ高等法院がヴァンヌに置かれた(1675年)頃から建築は主に石造りになる。次第に衰退するなかで、19世紀末に、県庁や市庁舎など豪壮な建物を作った。

最も古い地区(quartier Saint-Patern)をはじめ、旧市街がよい状態で保存されている。ガロ・ロマン時代に起源をもち15世紀まで増築された城壁と、16世紀末から17世紀にかけて作られた堡塁がよい状態で残されており、一部は登って散策することもできる。 歴史的な建造物を改造した、歴史考古学博物館や美術館が充実している。

ブルターニュ地方 HP
カンペール観光局 HP
ブルターニュの地方語使用者
レンヌ市 HP
ヴァンヌ観光局 HP
・フランス各都市の人口統計は、国立統計経済研究所(INSEE)が2004年度に行った国勢調査に
 よる数値である。
南 玲子 
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