2.ゲルの物性



 ゲルとは,高分子を三次元の網目状にして,その内部に水やオイルなどを含ませるようにしたものである.

ビデオ教材で示すように,水などを素早く吸収し,ものによっては高分子自身の体積の1000倍位まで膨潤するものもある.

図10-4は,横軸にゲルを作成したときの体積V0で膨潤度V/V0を規格化し,その温度依存性を求めたものである.



これは,イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸ナトリウムとの共重合体からなるゲルで,図中の数字は,アクリル酸ナトリウムの濃度(10-3moldm-3)である.

70×10-3moldm-3のゲルでは,42℃付近で体積が不連続に変化し,体積相転移を示している.

 ゲルの内部では,網目を形成する架橋点間のゴム弾性,高分子と液体の相互作用,高分子網目と液体の混合エントロピー,高分子網目と対イオンの相互作用などによってゲルは膨潤している.

そこでこれらのバランスが変化すると,ゲルは膨潤したり収縮したりする.

図1O-4の温度以外に,電場,溶媒組成,pH,圧力などを変化させてもよい.ゲルを,ゲルをつくっている高分子とは異種の希薄高分子溶液(0.25%)に浸しても収縮,再膨潤などが起きる.

ゲルは合成高分子のみでなく,生体高分子,ゼリー,こんにゃく,豆腐,寒天など身近なところにもあり,しかも高分子の特徴がよく現れるので,多方面からの研究が行われつつある.





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